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三浦しらとり園の結果

三浦しらとり園の結果
 
評価実施年月 平成27年10月~平成28年9月
公表年月 平成28年10月
対象サービス 障害分野 施設入所支援他
法人名 社会福祉法人清和会
対象事業所 三浦しらとり園
住所 〒239-0842 横須賀市長沢4-13-1
TEL・FAX TEL:046-848-5255 FAX:045-848-5258
ホームページ http://www.kanagawa-id.org/seiwa/shisetu/shiratori/
 

総合評価

総合評価
 
優れている点・改善を要する点
施設の概要:

 三浦しらとり園は、京浜急行長沢駅から徒歩10分の三浦半島の海と山に囲まれた豊かな自然の中にある。評価対象事業は、知的障害者入所(定員88名)、生活介護(定員95名)、短期入所(定員24名)、自立訓練(定員6名)である。昭和38年に神奈川県立知的障害児施設長沢学園として開設し、昭和58年に成人の入所・通所部門を加えて三浦しらとり園として運営を開始した。平成23年4月に指定管理制度に移行し、社会福祉法人清和会が指定管理者として施設運営にあたっている。平成27年3月末の入所者数は、知的障害者83名(平均48歳)である。近年入所者の高齢化が進み、60歳代9名、70歳代3名が入所している。  重度・重複障害者を積極的に受け入れており、入所障害者の82%が障害支援区分5以上の重度障害者は入所者全体の99%を占めている。施設内に診療所を併設し医療的ケアが必要な利用者への医療環境を整備している。また、短期入所事業に取り組み利用者及び家族の地域生活支援に取り組んでいる。
 
優れている点:

  1. 身体拘束や虐待の防止等、利用者の人権擁護に努めている。
    「利用者虐待防止ハンドブック」を全職員に配付し、虐待の芽は日常や支援の場に多く潜んでいることを明記し、虐待を起こさないためにどうすれば良いかを全職員に周知している。20項目の虐待の兆候に気づくためのチェックリストを用いて職員の人権擁護の意識の徹底を図っている。年間運営計画の平成26年度重点課題に、利用者の人権擁護、虐待防止への取り組みの推進を明記し、施設の人権パンフレット「生きているっていいな」に基づき人権擁護に取組むことを謳っている。人権委員会を立ち上げ、隔月に委員会を開催し、人権アンケートの実施や「職員の言葉遣い及び態度マニュアル」「身体拘束ゼロマニュアル」等の見直しを実施している。平成26年度より園の身体拘束ゼロに向けた進行管理を人権委員会で行っている。利用者の行動特性を理解し、自閉症、強度行動障害の理解を深めることで身体拘束防止に向けた職員の意識の強化を図っている。
     
  2. 利用者一人ひとりのストレングスに視点を置き、本人主体の個別支援計画を策定している。
    「個別支援計画作成及び運用マニュアル」を作成し、利用者の豊かな人生を支えるための個別支援計画であることを明記し、作成を職員に周知している。アセスメントで利用者の希望する生活を把握し、できない事に着目するのではなく、利用者が本来持っている能力やストレングス(強み)に視点を置いて支援計画を策定している。個別支援計画の課題に沿って最長6ヶ月(自立訓練は3ヶ月)ごとにモニタリングを実施し、サービス支援の実績を評価している。モニタリング票に利用者の変化の状況や満足度、目標の達成度を明記し、支援の継続の有無と今後の方向性を明記し個別支援計画の見直しに反映している。立ち上がるとすぐ転倒してしまい歩行は無理だとされた利用者が、職員の見守りの中で転倒事故もなく手摺につかまって歩けるようになった事例がある。職員は本人のやる気を伸ばす支援を行っている。
     
  3. 施設内に診療所を開設し、重度の障害者がいつでも診てもらえる安心できる環境を備えている。
    湘南病院と連携し施設内に診療所を開いている。診療所は内科、外科、精神科、耳鼻科、脳神経外科、婦人科、歯科である。また、理学療法士を配置しリハビリテーション体制を整備している。随時入院も可能で平成26年度は入院した利用者36名中35名は湘南病院が受け入れている。平成26年度の診療所の利用実績は、内科等診療が3,323件、歯科診療1,658件の合計4,981件である。診療所と施設間の情報共有を図っている。既往症や入院歴、アレルギー、発作の状況等を明記した健康カードを作成し、受診や入院時の正確な情報伝達を図っている。また、利用者の日常生活のバイタル情報等を記録した健康チェック表を受診時医師に示している。医師は診察の結果を診療連絡簿に記入し本人や担当職員に指示している。
     
  4. 利用者が楽しく安心して食事ができるように、食形態を工夫している。
    7種類の食形態で食事を提供している。普通食、一口大、きざみ、超きざみ、超きざみソフト、ミキサー、ソフトの各形態である。また、医師の指示により普通食、低脂肪食、減塩食、糖尿病食、低エネルギー食、アレルギー食を提供している。昨年7月に食感を大切にした食事を利用者に楽しんでもらうために、超きざみソフト食を考案し提供している。歯科医や管理栄養士等で摂食嚥下チームを編成し、毎月寮の摂食状況を確認し食形態が適切であるかをチェックしている。
    栄養ケアマネジメントを実施している。嚥下チームの巡回の結果を反映し利用者一人ひとりの栄養ケア計画を作成している。特に利用者の高齢化による栄養摂取や嚥下の状態の機能低下に配慮している。3ヶ月ごとにモニタリングを行い、個々の利用者の栄養ケアの結果を評価し改善につなげている。
     
  5. 強度行動障害者や支援困難事例への利用者支援に努めている。
    設立当初より重度の行動障害者等を積極的に受け入れている。平成26年度は、神奈川県強度行動障害対策生活支援事業対象者3名と三浦しらとり園独自の要綱により支援が必要と認めた準支援事業対象者4名を受け入れている。その他個別課題の7名の相談に応じている。強度行動障害児・者が自立した日常生活、又は社会生活を営むことを支援の目的としている。三浦しらとり園が中心となり横須賀、三浦地域の障害特性に関する知識と支援技術の向上を目的に強度行動障害に関する公開講座を実施している。平成26年度は5回の公開講座に延べ487名が受講している。また、他施設及び学校、関係機関からの行動障害に関する相談を受けて、専門的支援・助言を行い、平成26年度は延べ128回の個別支援会議を行い、また、135回のカンファレンスを開催し強度行動障害への対応に努めている。
 
改善を要する点:

  1. 不法行為発生時の対処方法の仕組みの整備が期待される。
    職員による不法行為が発生した場合は、就業規則に則り、課長会議などで対応する事になる。しかし、具体的な対処方法などについて定めた文書が無く、明文化に向け検討中である。具体的な仕組み整備が期待される。
     
  2. 自己評価の結果の家族への開示が期待される。
    平成平成19、24年の第三者評価の結果は家族に開示している。園内で独自に実施している自己評価の結果についても家族に開示し、家族の意見・要望の把握に努めサービス改善につなげる仕組みが期待される。
 

評価領域ごとの特記事項

評価領域ごとの特記事項
 
人権への配慮
  1. 人権尊重について「三浦しらとり園行動指針」に明文化し、また、人権マニュアル「生きているっていいな 福祉から権利へ~共に生きる~」「身体拘束ゼロマニュアル」を人権委員会が作成し、周知と振り返りを行い常に注意喚起を行っている。特に、身体拘束ゼロに向け、身体拘束の必要性を定期的に見直し、無くすことが困難な場合でも拘束時間の短縮に努めている。強度行動障害の方への支援など、本人の特徴と動きを捉え、無理強いしない支援をしている。
     
  2. 「利用者虐待防止ハンドブック」を全職員に配布し、適正な支援に努めている。また、年に1回人権の尊重も含めた業務全般にわたる「職員アンケート」による自己評価を行い、各職員が自己の振り返りを行っている。その内容を人権委員会が集計し、運営会議を通じて各寮に伝達され、必要に応じて寮ごとに研修を行っている。職員による不法行為が発生した場合は、就業規則に則り、課長会議などで対応する事になるが、具体的な対処方法は定めてなく、明文化に向け検討中である。
     
  3. 昭和58年施設建設当時の4人部屋をプラスチック板やカーテン等で仕切るなど出来る限り個室化するなど、プライバシーに配慮した環境設定に努めている。ほとんどの利用者が、排泄や入浴の介助を必要としており、同性介助にて対応している。カーテンやドアに、入浴中である旨の札を下げるなど、プライバシー確保の工夫をしている。
     
  4. 「個人情報保護規程」を定め、利用者が理解できるかどうかに関係無く、他者の前で個人情報を話題にすることは禁じられている。手紙、電話などの通信については特に制限をしていない。ほとんどの利用者は読み書きに限界があり、市役所など地方公共団体からの郵便物は、家族了解のもと、制度利用支援として職員が開封し内容を確認している。
 
利用者の意思・可能性を尊重した自立生活支援
  1. 言語での表出困難な利用者が多いため、職員間で連携を取りながら利用者の思いを捉える工夫をしている。また、オンブズパーソンとの「話そう会」や常勤の心理担当職員との面接、家族・後見人からの情報も活用している。利用者が求める情報について、必要に応じてインターネットや情報誌等を利用し、情報の提供を行っている。
     
  2. 本人への動機付けは、言葉では困難な方が多く、自閉的傾向の障害特性を捉え、写真カードや文字カードを工夫し、日課が分かるように支援するなど工夫している。帰宅時の栄養管理など、栄養士が家族と面談し、具体的な食事内容を聞き取り助言するなど、栄養管理の必要性を伝え理解を仰ぐなど工夫している。
     
  3. 「ストレングスの視点」を基に支援を行っている。細かなことであっても、障害特性による行動をマイナス面として受け止めずに、むしろ強みとして受け止めるようにしている。皆と一緒にいる事が嫌で自ら部屋に入ってしまう事など強みとして捉え、自由な時間を増やし、見守り方法を工夫するなど積み重ねている。
     
  4. 個別支援計画の策定・見直しは、各利用者の誕生月とその半年後の年に2回行っている。支援状況のモニタリングを基に担当支援員が看護師や栄養士、日中活動支援員などからの情報を加味し原案を作成、栄養士や寮長などとカンファレンスを持ち個別支援計画を作成し実施している。嚥下機能が低下し体力維持が課題の利用者など、健康やADL面の課題を捉え個別支援計画に反映し、本人・家族の同意を得ている。
 
サービスマネジ メントシステム の確立
  1. 生活支援部長が苦情受付担当者となり、苦情解決責任者の施設長と協議を行い「苦情解決規程」に基づき対応している。苦情等の受け付けは、本館玄関・各寮玄関付近3ヵ所に設置してある「声のポスト」ほか、課長、寮長、担当者等でも受付け、回答は意見と共に本館掲示板に掲示し、2ヶ月毎に開催されている家族会でも報告している。また、法人として3名の第三者委員を設置し、加えてオンブズパーソンが来園し年5回利用者が参加して「話そう会」を開催し、利用者との交流の中で話し合いの場を提供している。
     
  2. 「リスクマネジメント実施要綱」「事故及びインシデントレポート(ひやりはっと報告書)事務処理要綱」に基づいた支援を行っている。利用者にとってよりよい生活を営めるように、個別支援計画作成時にはアセスメントシートにて、利用者個々のリスクを把握している。また、リスクを回避するために身体拘束をせざるを得ない利用者については個別支援計画にてその旨を記載し家族の同意を得ている。昨年度は、インシデントレポート(ひやりはっと報告書)が1,574件、事故報告書が68件提出された。急な立ち上がりによる転倒・打撲事故等の利用者に対し、状況把握を行い再発防止を行っている。
     
  3. 診療所の運営を湘南病院に委託し、医師常駐のもとで受診・定期検診(歯科、内科、耳鼻科、乳がん、眼科等)を実施しており、夜間や休日も看護師が勤務している。また、緊急対応や入院などにおいても湘南病院と連携し対応している。日々の健康記録及び医療機関との情報交換、管理栄養士・理学療法士とのカンファレンスを行い、アセスメント表の記録を基に個別支援計画を作成している。身体機能に低下が見られた場合は、理学療法士と状況の確認を行い、その利用者に適したリハビリプランを提供している。誤嚥がある利用者も多く、歯科医師、管理栄養士、理学療法士、支援員など関係者による検討にて食事形態の工夫など行っている。
 
地域との交流・ 連携
  1. 毎年1回実施している「しらとり祭」に、近隣の方々の参加を呼びかけている。近隣の地域の方々や近隣の施設の方々が毎年600人ほど参加している。地域の作業所を多数招き作品販売の場所を提供し、近隣の中学校の吹奏楽部やダンス、近隣の短大のダンスや太鼓のグループに出し物を披露してもらっている。また近隣の少年クラブ団体・障害者団体への屋外プールや体育館等の貸出を行っている。グランドを提供するなど、地域住民に対し福祉の理解を深める取り組みを行っている。
     
  2. 縫製活動、日中活動(手工芸、ダンス、陶芸など)、外出支援、環境整備、余暇、行事のお手伝いなど、年間1,000人を越えるボランティアを受け入れている。コーディネーターを配置し、受け入れマニュアルを整備している。受け入れはしおりに基づき説明を行い、希望の内容に配慮している。活動内容に応じて担当者を決めて実施している。年に1度ボランティア懇談会を開催し、活動に対する意見・要望を聞いている。
     
  3. 研修・広報委員会等を中心に障害児・者に関する知識や考え方等、理解促進の働きかけの一つとして年9回公開講座を実施している。研修内容により、50人から400人ほどが参加している。主に近隣の障害者施設の職員が多いが、近隣の方々や家族の方も参加している。家族会や他施設にチラシを郵送するほか、園のホームページに掲載して知らせている。
 
運営上の透明性の確保と継続性
  1. ホームページに年間運営計画と事業報告を掲載し、施設運営の状況を詳細に開示している。事業報告は、年間運営計画に沿った事業の内容を数値データーを用いて詳細に記述したものである。また、理念や施設運営の考え方を明記し、サービスの種類、支援内容、各種施設の行事や日中活動についてホームページに掲載し運営の透明性を図っている。
     
  2. 年1回8月に全職員を対象に人権の尊重、サービスシステム、地域、経営、人材育成、日常生活支援に関して自己評価アンケートを実施している。人権委員会が集計し、結果にコメントをつけて職員にフィードバックしている。各セクション及び寮会議で振り返りを行ない、今後の支援向上の一助にしている。平成19、24年に第三者評価を受審し客観的な評価を受けている。
 
職員の資質向上の促進
  1. 高齢者支援、人権擁護、障害種別のトレーニングなど、多岐に渡って外部の研修を受講している。平成26年度は44回の外部研修に延べ147人が受講している。参加受講後は復命書を作成し、研修の内容及び所感を報告し、必要に応じて伝達研修を行っている。復命書はパソコンに書き込み職員間の情報共有を図っている。
     
  2. 内部研修は、職員及び家族、近隣事業所に向けた自閉症、強度行動障害、心理分野の公開講座を開催するほか、大学の教授を招いた事例研究、虐待防止、防災、救急法などの研修を開催している。また、平成27年度から組織のマネジメント、人材育成の力の向上を図るためリーダー研修(課寮長研修)を開始している。また、医療実務研修として、ハイムリック法、吸引ノズルの使用法などを実施している。平成26年度は40回の各種内部研修を実施し、参加者は公開講座を含めて延べ1,178人に及んでいる。
     
  3. 新任研修では、採用時に基本理念、基本方針を始め、障害者の理解から医療ケアに至る2日間16コマの研修を実施している。月2回の寮会議を開催しており、その中で、理念を確認しながら、「季節に合った衣類を着せているか」など支援の確認を行っている。職員は、「職員行動指針」をいつでも振り返ることができるよう、ネームプレートの裏に、入れて携帯している。
     
  4. 当施設では、毎年多くの実習生を受け入れている。平成26年度は、23校の保育士養成機関と2校の社会福祉士養成機関より41名を受け入れた。実習生指導担当職員を配置し、実習生受け入れマニュアルを整備し、また、基本理念、基本方針や実習の心得などを記載した実習生の手引きを配付している。
 

評価結果詳細

評価結果詳細
 
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