①職員の人権擁護意識の強化に取り組んでいる。
職員は、『障害を持つ個人が尊厳を持って、その人らしい自立した生活を送れるように支える』責務があることを職員倫理綱領、職員行動規範の冒頭に明記し利用者の人権擁護に取り組んでいる。毎年人権チェックリストを用いて全職員が自身の人権擁護の取り組みの自己点検を実施している。職員行動規範等を明記したクレドを職員一人ひとりが常時携帯し、日常的に人権擁護について自身の行動を振り返り注意を喚起している。また、人権委員会が2か月毎に人権標語を作成し施設内各所に掲示している。
②利用者一人ひとりの障害特性に配慮した自立支援に努めている。
利用者ごとに「障害特性シート」を作成し、コミュニケーション障害、社会性の障害、想像力や感覚障害など利用者一人ひとりの行動特性と支援方法について明記している。職員は利用者個々のコミュニケーションの取り方を工夫し、理解の難しさ、発信の難しさ、やりとりの難しさに対する支援のアイディアを提示している。支援の必要性や範囲を本人や家族と話し合って個別支援計画に盛り込んでいる。自閉傾向の強い利用者については、個性やこだわりにもきめ細かに配慮し、写真や絵、カードなどを活用したスケジュール表を作成して曜日や時間ごとに決めた自立課題を設定している。
③利用者の日中作業に参加できる楽しみが広がっている。
日中活動のボールペンの組み立てと12本のケース詰め作業に多くの利用者が興味を示したことを受けて、出来るだけ多くの知的障害のある利用者に参加してもらうことにした。全行程を一人でできるのは4人だけであったが、作業工程を3つに分割し能力に応じて担当することで17人の利用者が参加することができた。本数を数えることが苦手な利用者が多く、3本までは数えられるがそれ以上だと間違えてしまい集中力が途切れてしまう。3本ずつを一括りとして4個を束ねてケースに詰める治具を工夫し、スピードアップを図ることができた。作業効率も当初の2倍になり、完成した製品をみて自分の責任を果たしたことへの満足感が利用者のモチベーションの向上につながっている。
④オンブズマン制度を活用し利用者が気軽に相談できるようにしている。
オンブズマンが年10回施設を訪問し利用者の相談に応じている。「あなたのそばにオンブズマンがいます」と明記した電話相談にいつでも応じるポスターを施設内各所に掲示し、また、「みんなの声」ボックスを食堂に設置し、利用者がオンブズマンに相談したいことがあればいつでも投函できるようにしている。利用者は毎月第3水曜日のオンブズマン相談会に出席し、直接職員に言えない苦情や悩みについて顔なじみのオンブズマンに相談している。