①職員は行動障害のある利用者が安心して日常生活を送れるように支援している。
入所者60名中半数は自閉症スペクトラム症(ASD)の利用者であり行動障害のある利用者が多い。利用者一人ひとりの行動にはそれぞれの理由がある。障害シートを作成し、個々の利用者のコミュニケーション障害、社会性障害、想像力の障害、感覚障害のそれぞれの行動特性に応じた支援について明記し、職員の支援の統一性を図っている。頻繁に粗暴行為を繰り返すASDの利用者の事例では、職員がチームを組んで、スキャッタープロットで一日の流れの中で何が問題行動を誘引するかを把握し原因を追究し、その原因にアプローチすることで問題行動が減少し本人が安心して生活できるように支援している。職員はASDや行動障害に関する研修や勉強会に積極的に参加し専門性の強化に努めている。
②利用者の希望するライフステージに即した支援をしている。
長期の施設入所を経て地域生活を希望する利用者がいる。また、高齢化が進みADLが低下し介護支援を主体とした支援を必要としている利用者が増加している。愛育寮ではグループホームの体験宿泊を実施するなど、地域移行を望んでいる利用者を積極的に支援している。昨年1名、今年度も1名が地域のグループホームに移行している。今年度は法人内に利用者の高齢化・重度化に配慮した日中サービス支援型のグループホームが新設され、70歳代の男性の利用者が愛育寮から移行した。入所施設、通所施設及びグループホームの法人全体の支援体系の中で、「利用者のライフステージにおけるケア」の法人理念の実践に努めている。
③職員の人権擁護意識の強化に取り組んでいる。
「職員は、『障害を持つ個人が尊厳を持って、その人らしい自立した生活を送れるように支える』責務がある」ことを職員倫理綱領、職員行動規範の冒頭に明記し利用者の人権擁護に取り組んでいる。年2回人権チェックリストを用いて全職員が自身の人権擁護の取り組みの自己点検を実施している。職員倫理綱領、職員行動規範等をカードに明記したクレドを職員一人ひとりが常時携帯し、日常的に人権擁護について自身の行動を振り返り注意を喚起している。また、人権委員会が2か月毎に人権標語を作成し施設内各所に掲示し職員の人権意識の強化を図っている。