公益社団法人神奈川県社会福祉士会は、神奈川県内における社会福祉の推進と発展を目指します。

評価実施年月	2021年8月～ 2022年3月
公表年月	令和4年4月
対象サービス	母子生活支援施設
対象事業所	白百合パークハイム
所在地	神奈川県
ホームページ	hhttps://shinsei-kai.org/

• 子どもの育ちの環境を整え、母と子が安心して生活できる環境整備に努めている。
  入所している母と子の多くはDVの被害者である。母親の被った暴力を多くの子どもが目撃し後々までそのトラウマに苦しむ子がいる。親の薬物、アルコール依存や精神疾患による不安定な生活環境が子どもの発達に様々な悪影響を及ぼしている。施設では子どもの育ちの環境を阻害する要因をリスクととらえ、リスク管理を徹底した母と子への適切な支援に努め、毎年定期的に世帯ごとのリスクアセスメントを実施している。「危機管理シート」を作成し施設長を含むチェックチームを編成し母から子への虐待や子どものひきこもり、不登校などリスクごとに５段階評価を行い早期介入の必要性を確認している。ケースごとに区子ども家庭支援課等関係機関と連携し適切な対策につとめている。

• 自立支援計画に基づき自立に向けて進んでいることを利用者が実感できるように支援している。
  世帯ごとの自立支援計画及び個々の児童自立支援計画を策定している。母と子にアセスメントを実施し利用者支援ニーズを把握している。母と子それぞれに面談し、「定期面接時記入シート」を用いて母と子が困っていること施設に手伝って欲しいことなど要望・希望の把握に努めている。母との話し合いや関係機関を交えてカンファレンスを行う際は、ホワイトボードに検討事項や決定事項を書き入れ視覚的に分かるように説明し、目標や課題を共有し、自立に向けて進んでいることを母親が実感できるように支援している。年2回定期的に自立支援計画を見直している中で、また、日常業務中で自立支援計画の達成状況を評価し、ケース記録を作成し必要に応じて随時計画の見直しを行っている。
  児童自立支援計画は、子どもたちが自分で将来の夢や、希望、できることなどを記入したシートをもとに面談を行い、本人との確認をしながら作られている。

• 母と子の心の安心感に繋がるバックボーンとしての施設の存在感を目指している。
  母子生活支援施設を利用する母子世帯は実家との関係が疎遠なケースが少なくない。退所した世帯が相談事や報告等で施設を訪問するケースが増えており、退所後のアフターケアの施設の存在への期待が高まっている。成人式を迎え最初に施設を訪れ晴れ姿を職員に披露してくれた退所者の事例がある。「帰るところがあってよかった」という母と子の声が届いている。施設では、退所した母子がいつでも帰ってきたいと思えるように、施設の明るさや温かさを活かして実家のように感じてもらう「実家機能」を目指した支援に取り組んでいる。

• 母と子の主体的に地域で生活していく意識の強化に向けた取り組みが期待される
  母子生活支援施設の特性から母が主体的に子育てをし、生活を組み立てる意識の醸成が望まれる。毎月「母の会」を開催しているが出席者も少なく、以前のような自治会としての活動を停止している。毎月実施されている「ほのぼのTea　Time」は、現状では参加者が数名という状況が続いている。就労や、母が持つメンタル面の特性から参加しにくいとの指摘があるが、施設内の利用者同士の関係づくりが退所後の地域生活に生かされ、利用者の精神的支えとなる施設の存在の一層の強化を期待したい。